埋蔵技術を飛躍の原石に、一気に磨き上げ次々と事業を生み出す
新代表・金野諭が語る BIRD INITIATIVE の挑戦と使命

BIRD INITIATIVE 株式会社
代表取締役 CEO
金野 諭
本インタビューでは、BIRD INITIATIVE の代表取締役 CEO に新たに就任した金野 諭(こんの さとし)氏に、これまでの歩みや就任の背景、事業戦略、社会に果たす役割、そして今後のビジョンについてお話を伺いました。
目次
1. 代表取締役の自己紹介とキャリア背景
2. 会社のミッションとビジョン
3. 事業戦略と競争優位性
4. 企業文化と組織づくり
5. 今後の展望
01代表取締役の自己紹介とキャリア背景
Q:これまでのキャリアとご経験についてお聞かせください。
これまで 30 年にわたり一貫して新規事業創出の現場に身を置き、時に過酷でありながらも、一度足を踏み入れると抜け出せないほどの魅力を持つ「ゼロイチ」や「イチジュウ」の世界で挑戦を重ねてまいりました。
最初の 10 年は主に不変な基礎技術の習得に注力する形で、ITインフラの技術者としてキャリアをスタート。その過程で、最先端技術を活用した新規事業の立ち上げを支援したり、自ら立ち上げたりする中、社長賞の受賞や米国 MBA への派遣を経て、キャピタリストとしての道を歩み始めました。
それからの 20 年間は、投資家の視点をさらに磨き、キャピタリストとして23社の投資担当をし、そのうち 13 社を上場へ導くなど、スタートアップの成長を支える立場として実績を積んでまいりました(2025年 3月末時点)。
また、米国ロサンゼルスにて 60 名ほどのデータセンター向けソフトウェア開発ベンチャーを共同創業し、事業売却を成功させた経験も有しております。さらに、300 億円規模の国策知財ファンドの組成に参画し、200億円以上のアップサイド創出に貢献。金融・投資と知財・無形資産を融合させた事業成長のあり方について、実践を通じて知見を蓄積してきました。
その後も、知財重視型投資ファンドの立ち上げや、国土交通省・特許庁・東京都のスタートアップメンターとしての活動を通じ、技術・投資・知財戦略を横断的に活用し、企業の成長を後押ししてまいりました。
Q:BIRD INITIATIVE を率いることになった経緯について教えてください。
これまでベンチャーキャピタリストやエンジェル投資家として、数多くのスタートアップを支援してきました。その中でも特に注目してきたのが、大企業から生まれるスタートアップ、いわゆる「カーブアウト企業」の創出支援です。
スタートアップの多くは学生や若手起業家によるものが中心ですが、日本の競争力を中長期的に高めていくためには、大企業が有する技術・知見を活かしたスタートアップの成長が不可欠です。
そうした背景のもと、BIRD 創業者の北瀬さん、そして NEC CTO の西原さんから、「新たな挑戦の場として BIRDを託したい」というお話をいただきました。私の「技術者・投資家・起業家・知財戦略家」という多面的なバックグラウンドが、BIRD のビジョンと強く合致すると評価いただいたのだと考えています。
Q:影響を受けた人物や出来事はありますか?
最も大きな影響を受けたのは、父の存在です。彼は元々技術者でしたが、その後、日本の大企業の米国子会社社長としてグローバルに活躍する姿を見て育ちました。仕事や従業員に向き合う姿勢や、新たな挑戦を恐れず進む姿を、幼い頃から間近で見てきたことが、私のキャリアにも大きく影響していると感じています。また、根本的に技術好きなのも、工学博士を目指すようにうまく教育されたり、小さい頃からパソコンやコンピュータ言語に触れる機会を得ていたなど、父の影響を大いに受けています。
02会社のミッションとビジョン
Q:BIRD INITIATIVE のミッションをどのようにお考えですか?
BIRD の使命は、「KOTORI(=新規事業)」を次々と生み出し続ける企業であることです。
私たちが目指すのは、単なるアイデア提供や机上の空論ではなく、実際に市場を動かし、社会にインパクトを与える事業を創出することにあります。短期的な収益にとらわれるのではなく、長期的に持続可能な事業経営を実現するために、確固たる差別化要因を備え、技術を核とした事業創出に徹してまいります。
<BIRD はならない!>
私たちは、「支援逃げ」するようなコンサルティング企業にはなりません。
新規事業を立ち上げることなく、報告書のみを量産する企業にもなりません。
収益に結びつかない新規事業案を並べるだけの企業にもなりません。
BIRD は「新規事業の実行者」であり、「事業の飛躍を生み出す場」であり続けることにこだわります。
Q:社会への貢献については、どのようにお考えですか?
KOTORI は、単なる新規事業ではなく、技術の力で「社会課題」を解決するものでなければなりません。その実現によって、BIRD が数多くのKOTORIを生み出すことは、結果として数多くの社会課題の解決につながり、未来を切り拓く原動力となると確信しております。
技術の可能性を最大限に引き出し、未解決の社会課題に挑戦し、新たな価値を創造することで、日本から世界そして未来へと貢献してまいります。
03事業戦略と競争優位性
Q:現在の主力事業について教えてください。
BIRD では自社の強みを最大限に活かし、以下の 2 つの事業を主軸として展開しています。
(1)R&D・技術開発起点の新規事業創出コンサルティング
これまでの支援実績で得られた知見を活かし、大企業や研究機関で埋もれている飛躍の原石となる技術の発掘、そしてその技術を活用した新規事業の探索・検証・事業化までの一連の新規事業創出プロセスを支援します。特に外部資金調達を伴う「カーブアウト」という高難度の事業化にも対応できる点が特徴で、社会実装の実現可能性を高めることが可能です。単なるアドバイザリーにとどまらず、実行フェーズまで伴走し、事業の立ち上げと成長を加速させます。もちろん、カーブアウト以外の100%子会社やジョイントベンチャー立ち上げ支援においても、事業の成長加速や親会社とのシナジーを意識した支援を行うことができます。
(2)カーブアウト・スタジオ事業(「Carve out Studio®」商標取得済)
事業計画の精緻化、体制構築から出口戦略・資金調達・会社設立まで、最短で起業まで導くBIRD独自の「カーブアウト・スタジオモデル」により、スタートアップの創出を量産していこうと考えています。大企業発の新規事業に不足しがちな投資家などの外部視点を取り入れた柔軟な支援体制により、新規事業の成功確率を大きく高めるとともに、外部資金・外部視点を活用した事業創出、スケールアップを実現します。
Q.”カーブアウト”は、企業が 100%出資して子会社を作るスピンアウトとはどう違うのでしょうか?
カーブアウトとは、あまり聞きなじみのない方もいらっしゃるかもしれませんが、大企業内の非中核事業や新規技術を分離・独立させ、新たなスタートアップや事業会社として再構築する取り組みのことを指します。欧米では一般的な事業開発手法であり、近年日本でも注目を集めています。
中でも、単に事業会社自身が 100%出資して会社を設立するような子会社という形ではなく、BIRD では外部資金調達により経営の自由度を高めた“起業家主導型”のカーブアウトを推進しています。
このモデルでは、大企業の中から志ある事業担当者が自ら起業家となり、BIRD や外部投資家と協働しながら新会社を立ち上げます。外部資本の導入により、成長戦略に柔軟性を持たせることができ、従来の子会社モデルでは得られなかったスピード感や市場志向 の意思決定が可能になります。
さらに、BIRD はカーブアウトの構想段階から事業計画の磨き上げ、資金調達、設立実務、 初期顧客の獲得支援まで、一貫して伴走。新しい挑戦を目指す起業家と企業の橋渡しをしながら、未来を切り拓く事業の創出を加速しています。
※ 起業家主導型カーブアウトについてより詳細を知りたい方には経済産業省より発表されている下記、起業家主導型カーブアウト実践のガイダンスをご案内します。特に、P.10 の「事業会社としての意義」は目を通してみて下さい。
URL:https://www.meti.go.jp/policy/tech_promotion/curveout_guidance.pdf
Q:業界内での競争優位性はどのような点にあるとお考えですか?
BIRD の最大の競争優位性は、新規事業創出の成功確率を圧倒的に引き上げる独自のノウハウと、それを支える実行環境にあります。
特に、大企業の新規事業創出を支援するなかで培ってきた、国際標準であるイノベーション・マネジメントシステム ISO56002 に基づいた実践的な仕組みの構築力は大きな強みです。ISO56000 シリーズは、イノベーション活動を組織的・継続的に推進するための国際標準であり、戦略策定から実行、評価までを体系的に整理したフレームワークです。BIRD はこのフレームを、各企業の課題や文化に応じて柔軟に適用し、単なる形式的導入 にとどまらない、実効性ある仕組みとして組織に根づかせていくアプローチをとっています。
<BIRDの動力源!>
大企業発の新規事業創出に特化したスペシャリスト集団です。
「準備」ではなく「トライ&エラー」に重きを置く文化で、まずは「やってみる!」
自社開発チームを擁し、MVP(最小実行可能製品)を爆速開発が検証を加速します。
生成 AI の活用で、新規事業創出の生産性を 100 倍向上できます。
知財戦略を事業成長の武器にする仕組みを構築しています。
これらを融合させることで、私たちは従来のやり方では実現し得なかったスピードとスケールで事業を創出しています。
04企業文化と組織づくり
Q:どのような企業文化を大切にされていますか?
「支援逃げしない」という姿勢を大切にしています。これは、どのフェーズの事業支援においても、口先だけの助言にとどまらず、KOTORIが「飛び立つ」までしっかりと伴走するという姿勢を意味します。仮に BIRD の支援が途中で終了する場合でも、それが将来の KOTORI の糧になると信じて責任を持って取り組んでいます。
Q:社員に求める価値観やマインドセットについて教えてください。
新規事業には山ほどの課題がつきものです。決して楽な道ではありませんが、本質的には “楽しくてやめられない” イノベーションに、ポジティブに向き合えることが重要だと考えています。
やってみなければ分からないことばかりの世界です。行動したからこそ見えてくる課題に一つずつ取り組む過程には厳しさもありますが、未知への挑戦のワクワク感や、成し遂げたときの達成感、そして一歩ずつ課題を越えることで得られる自己成長の実感――。 そういった前向きな側面に価値を感じられるメンバーと一緒に仕事をしたいと思っています。
Q:組織の成長に向けて、どのような取り組みをされていますか?
社内勉強会「BIRDEMY」を不定期に開催し、多様なバックグラウンドを持つメンバーの経験や、プロジェクト終了後に取り組んだ内容の生々しい経験を共有する場を設けています。また、カジュアルな交流の場として「ビザ会(ランチ会)」も実施し、社員同士の自然なコミュニケーションを促進しています。
これらの取り組みにより、知見の共有や成長意欲の醸成が自然に起こる環境づくりを推進しています。
05今後の展望
Q:今後の成長戦略について具体的にお聞かせください。
BIRD では、以下の 3 ステップにより、持続的な成長を加速させてまいりま す。
ステップ 1:コンサルティング事業による事業機会の探索・検証
大企業や研究機関が資金や時間をかけて生み出してきた技術資産の中から、飛躍の原石となり得る技術や知財を発掘し、新規事業の探索を伴走支援します。事業が磨けば光る輝きを秘めているのか見極め、検証の中で磨いてKOTORI化へ準備を進めます。
ステップ 2:カーブアウト・スタジオ事業による KOTORI の創出とスケール
外部有識者および投資家などの外部の視点も活用し、スケーラブルなスタートアップを次々と輩出します。BIRD 自身が次世代ユニコーンの生みの親となることを目指します。
ステップ 3:KOTORI からの収益モデル構築による成長エンジンの確立
生み出したスタートアップの成功は、配当収益、事業売却益、リベニュー・プロフィットシェアなど多様な形での利益創出につながります。さらなるKOTORI創出への投資で、事業創出のエコシステムを形成します。
このようなエコシステムにより、私たちは BIRD 自身が次世代のユニコーン企業の“生みの親”となることを目指します。
Q:代表取締役としての想いをお聞かせください。
BIRD は、まさに流行を追うだけの企業ではなく、未来そのものを創り出す存在でありたいと思っています。つまり、新規事業の「マーケットメイカー!」です。
「2035 年の未来技術レポート」を夏までには発行する予定です。今後も毎年、10 年先の技術を見据えたレポートを更新し続け、次に来る社会ニーズを先取りしていこうと考えています。
テクノロジーの進化を待つのではなく、BIRD 自らが推進役となり、企業の枠を超えて、政府・学術機関・スタートアップとの連携を通じて、未来の産業を創出していくことを志します。
Q:最後に、メッセージをお願いします。
BIRD は、単なる新規事業支援会社ではありません。
未来を創るプレイヤーとして、日本の産業競争力を牽引し、新しい価値を生み出し続ける存在を目指します!