Webサイト:https://www.plibot.co.jp/
取材にご協力していただいた
PLiBOT株式会社
代表取締役社長 佐藤 正明 様
BIRD INITIATIVE が、事業検討から会社立ち上げ(デザイン支援)まで付き添いながら新事業開発をご支援させていただき、大林組から見事カーブアウトしたPLiBOT株式会社。本事例では、青砥事務所をお訪ねし、様々な困難を乗り越えて新会社として出発するに至った経緯とその将来への展望を、佐藤正明代表取締役から伺いました。
01エコパートナーの形成
BIRD INITIATIVE :新会社立ち会げ前の準備として、エコパークがエコパートナーを形成されたかと思います。その中で海外メーカーと協業する際のご苦労はありましたでしょうか?
代表取締役社長 佐藤 正明 様:昨今コロナ禍で海外出張が規制されていましたが、今回コロナの規制緩和を狙って欧州へ出張し、海外パートナーの会社・工場・製品・組織を実際に確認しパートナー企業の方向性を確認し形成しました。対面して協議ができない苦労はありましたが、WEB上でミーティングを繰り返しながら、打ち合わせを重ねて、今日に至ります。
02「連携性」と「柔軟性」の実現のために
BIRD INITIATIVE :PLiBOTの一つの理念として「連携性」と「柔軟性」を掲げていますが、それを実現するための技術的な苦労はありましたか?
代表取締役社長 佐藤 正明 様:一番はナビゲーションです。今回は連携性を重要視し、BlueBotics(注1)のナビゲーションを積んだAMRを選定しています。メーカーは違えどナビゲーションは同一のため、連携性について問題はありません。一方、設備との連携は今後お客様と連携していく過程の中で個々に調整が必要です。お客様の設備が新しければ連携は容易ですが、古い設備との接続となると、PLCを介す等の技術的な苦労は出てくると思っています。柔軟性はお客様の要望にあわせた組合せが可能なため、連携できれば技術的には問題ありません。
注1:スイスの自律走行ナビゲーションシステム提供会社
BIRD INITIATIVE :BlueBoticsの話が出ましたけれども、例えば国内でPLiBOTのように異なるロボット間でも連携できるような仕組みを、サービスとして提供するのでしょうか?
代表取締役社長 佐藤 正明 様:国内では、自社メーカーの製品を販売するために、メーカーの中で製品のポートフォリオを増やしているのですが、自社メーカーのロボットを売りたいというのもあるので、異なるロボットの連携は進んでいません。
BIRD INITIATIVE :そう考えると、PLiBOTというのはプラットホームという概念を持って、会社を立ち上げているといった意味でもかなり先進的ですね。
代表取締役社長 佐藤 正明 様:そこに行き着くまでに、大林組は様々なメーカーの機械を使い、今回のPLiBOTでは多種多様なメーカーを繋げるという点が、PLiBOT社の理念のひとつである連携性にも繋がっていると思います。
BIRD INITIATIVE :なるほど。結局そういった意味では、大企業から出てきたベンチャーという意味がすごく大きいですね。大林組での経験や、お客様とのパートナーシップから出てきて、よりブラッシュアップされたんですね。大林組からはどのような支援を受けましたか?
代表取締役社長 佐藤 正明 様:大林組の新規事業推進部門(ビジネスイノベーション推進室)が先導し既存事業各部門とビジネスを進める際の調整をしていただき、PLiBOTチームが持っている技術・ノウハウをビジネスに展開するサポートをしていただきました。
03BIRD INITIATIVE との関わりについて
BIRD INITIATIVE :弊社BIRD INITIATIVEが支援に至った経緯をお話しいただけますでしょうか?
代表取締役社長 佐藤 正明 様:大林組は創業130周年を記念するオープンイノベーションに対する取り組みとして、 「MAKE BEYONDつくるを拓く」というプロジェクトを立ち上げました。そのプロジェクトの一環として、新規事業推進部門を率いる堀井が北瀬社長(当時)と懇意にさせていただいた関係で、AGV・AMRを活用した事業検討について、その可能性や評価をBIRDさんへ依頼しました。その結果、ビジネスとして成り立つ可能性があると判断していただいたため、事業化検討チームを昨年7月に結成、プロジェクトチームとして活動を始めました。その際、北瀬社長と事業総合開発について、アドバイザリー契約を締結し、事業検討を始めたというのが経緯です。
BIRD INITIATIVE :BIRDの支援で良かったところは何かありますか?
代表取締役社長 佐藤 正明 様:やはり大林組は建設業であり物を販売する会社ではないため、大林組の常識では考えられないところが数多くありました。そのため、BIRD INITIATIVEさんの様々なコネクションを使ってもらい、我々の作成する資料に客観的な視点を加えていただくことでビジネスの方向性を絞ることができました。また、プロジェクトをより早く、より大きく成長するために、Marketing & Design Teamの福島さんにデザイン支援をしていただき、コンセプトメイキングができ非常に良いサポートしていただいたと思っております。
04運搬の未来と可能性について
BIRD INITIATIVE :別のインタビュー記事を読ませていただいた際、記事の中の「現実世界の情報をデジタル言語への変換」という言葉がすごく響いたのですが、どのような運搬の未来像・可能性を感じていらっしゃいますか?
代表取締役社長 佐藤 正明 様:将来みなさんが思われているスマートシティは、様々なロボットが統一された共通言語に基づき動いているものだと思います。ただ国内の実情を見ていても、ロボットに対して各メーカーが一方的に言語を作っているため、メーカー毎にマネージメントシステムが違っており、中々様々なロボットが一堂に会するというのはまだまだ遠い将来だと思っております。そのため、ナビゲーションやAPIが統一もしくは共通化されて、様々なロボットが協働して作業をする将来になっていくのだと想定します。エレベーター業界では、今、ロボットフレキシブルという形で、ロボット・エレベーター連携インタフェイス定義で共通化APIに取組んでいます。設備側もロボット側もAPIが規格化されてきたら、より様々なロボットが一堂に会して協働していけるのでないかと思っていますが、まだまだ時間がかかるかなと思っています。
BIRD INITIATIVE :APIの平準化、規格化、共通規格化というようなところで思い描いていることは、何かありますか?
代表取締役社長 佐藤 正明 様:いずれ規格化されたら、我々はそれを受け入れる準備さえしていたらいいと考えております。私たちはAPIを活用することでPLiBOTというプラットホームを作成しました。もし規格化されたらそれをプロトコルとして入力するだけなので、よりPLiBOTが活用しやすくなり、ロボット・設備の連携が広がります。
BIRD INITIATIVE :今の話の延長で人とロボットが一緒に働くことができる時代とは、どんな未来像を思い描いていますか?
代表取締役社長 佐藤 正明 様:スマートシティが未来像かなとは思っているのですが、まだまだロボットに対する認識をみなさんに確立できていないと思っています。ペットを飼うときも、犬を飼う際は犬に合わせて家庭の環境を変えられると思うのですが、アルマジロを飼おうとしたら、アルマジロの知識を持った人に聞いて、自分の家で飼育できるように環境を変えていくと思います。実は、僕らのビジネスも、それと同じで、ロボットに対する環境・知識を持った人に聞いて、そのロボットが人と働くことのできる環境に変えられれば、ロボットと人が働くことはそんなに遠くない未来になると思います。我々がPLiBOTとして与えられたプラットホームをお客様に提供して、環境を整えることによって、ロボットが働きやすい環境を作っていこうというのは、会社を立ち上げた経緯でもあります。
BIRD INITIATIVE :まさしく人とロボットを結ぶ、プラットホームですね。最後に、直近の予定と今後の展開や予定をお聞かせください。
代表取締役社長 佐藤 正明 様:大林組130周年記念イベントである総合展示会(OBAYASHI VISION SHOWCASE2022)が10月19~21日に国際フォーラムで開催され、11月30日~12月2日には、大阪・梅北のコンデンションセンターでも同様のイベントが開催されます。そちらでも国際物流展と同様に、AMRが一つのプラットホームで動くというデモンストレーションを実施します。PLiBOTの青戸事務所では、国際物流展が終わってから内覧会を実施しまして、様々なメーカーのお客様に足を運んでいただきました。総合展示会の後も、その内覧会にお越しいただいたお客様に、より深く説明していく形で進めています。
インタビュー後記
代表取締役社長 佐藤 正明 様:インタビューの取材中も、お客様へひっきりなしに対応させていただきました。「百聞は一見にしかず」の諺のように、機会がございましたら是非一度、PLiBOT青戸事務所へ足をお運び頂ければと思います。
企業プロファイル
社名
PLiBOT株式会社
所在地
〒125-0062 東京都葛飾区青戸三丁目2番2号
代表者
佐藤正明
設立
2022年8月
資本金
2.5億円(+資本準備金2.5億円)
株式構成
大林組100%
事業内容
物流自動化・ロボティクスに関するソリューション提供事業