コンサルティング
お客様:株式会社大林組 ビジネスイノベーション推進室様
イノベーショングランドデザイン
企業の中でイノベーションを推進する組織設計と事業開発プロセスの策定を支援
背景
大林組様はブランドビジョン「MAKE BEYOND つくるを拓く」を掲げ、既存事業では取り扱わない新規事業の創出や事業変革を実行し、20年、30年先の未来、会社の成長に繋げていく活動を進めています。 中でもビジネスイノベーション推進室は2021年4月に設立され、これまで社内で進めてきた新規事業の立ち上げ推進や教育プログラムなどを整備し、ビジネスモデルの精度を上げる取り組みを行なっています。特に、企画コンサルグループは属人的で暗黙知になりやすい新規事業ノウハウの形式知化にも着手されていました。
実施内容
事業開発に伴う現状課題をメンバー全員で棚卸しを実施し、ありたい姿とのギャップを抽出。その上で、事業開発に必要なアクティビティやアウトプットの設定、関係者間の判断基準の統一などを全社的な新事業開発プロセスガイドして策定しました。また、事業開発プロセスを活用・浸透させる為に必要な教育プログラムや人事施策、R&Dやコーポレート部門との連携等を実行計画に落とし込み、具体的な活動へと結びつけました。
効果
策定した事業開発プロセスガイドについて、経営層から好評価を得られ社内に向けた普及活動へと展開開始。
事業開発プロセスガイドが社内の共通言語となり、事業開発関係者だけでなく、外部パートナーとの会話や認識にも齟齬がなくなり、コミュニケーションもスムーズに。
また実施すべきアクティビティやアウトプットが明確となり、事業開発担当者への評価もクリアとなりました。
担当者からのメッセージ
2ヶ月半という期間で17回のワークショップを実施する為、大林組様のメンバーの皆様に少なからぬ負担をお掛け致しましたが、メンバー皆様の間で課題認識から施策検討、プロセス策定、今後の実行計画まで、濃密な議論をする貴重な機会になったとの感想を伺いました。今回策定した事業開発プロセスガイドが実践を通してブラッシュアップされ、大林組様の事業開発の礎となるよう今後もご支援させていただきたいと思っています。
お客様の声
株式会社大林組
ビジネスイノベーション推進室
株式会社大林組 ビジネスイノベーション推進室 企画コンサルグループ
左から 堀井 環 様 / 小山 迪彦 様 / 小嶋 美由希 様
0120年、30年先の未来へ繋ぐ
まずはビジネスイノベーション推進室(以下BI室)のミッションを教えて下さい。
大林組はブランドビジョン「MAKE BEYOND つくるを拓く」を掲げ、建設の枠を越え、新しい領域を拓いて、人々の暮らしを豊かで持続可能なものにすることを目指しています。如何にして従来の建設業の枠を越え、新しい領域を拓いて行くのか?当室が設立された主旨・意義はまさにここにあります。会社が成長していく為には、知の深化(既存事業を深掘っていく領域)と知の探索(自分達が知らない領域についても切り開いていく)が成長のエンジンとなります。この知の探索、既存事業では取り扱わない新規事業の創出や事業変革を実行し、20年、30年先の未来、会社の成長に繋げていくことが我々のミッションとなっています。
具体的にはどのような業務をされているのでしょうか?
BI室は2021年4月に設立されましたが、これまで社内で進めてきた新規事業の立ち上げや社内で新規事業を行いたい人を受け入れて、教育プログラムなどを行いながらビジネスモデルの精度を上げる取り組みを行なっています。当室は3つのグループで構成されていて、中でも企画コンサルグループは暗黙知になりやすい新規事業のノウハウを形式知化する取り組みに注力しています。
02変化する社会環境の中で
環境の変化をどの様に捉えていますか?
これからのVUCAと呼ばれる先行きが不透明な時代では、これまでに築き上げられた社会構造やシステムそのものに変革を促していかないと次の世代に繋げられないと感じています。コロナ禍を起点としたライフスタイルや社会環境状況が大きく変わりつつ転換期にあり、産業構造そのものもデジタルのキーワードの中で組み立て直されようとしています。そういった中で、会社の新しい位置付けやポジショニングの再定義、我々の会社は何をすべきなのか?を問い直す時期が迫っていると感じています。
新規事業の検討を進める上で具体的な課題は何でしょうか?
これまでも当社としてはグリーンエネルギーである太陽光発電など新たな事業も展開してきました。しかし、新しい事業の立ち上げについて組織の形式知にまで落とし込むことが出来ていませんでした。また、新規事業の担当者は熱意をもって何とか成功させたいと努力しています。しかし、事業の開発には時間がかかりますし、直ぐに売上が上がるとも限りません。実はこれまでは社内に共通の事業開発プロセスや事業評価基準がなかった為、担当者が暗中模索して事業開発を進めるような状況でした。共通のプロセスを構築した上で、事業の立ち位置を明確する事や、会社として「このフェーズであれば、これをやったら成功」だと言ってあげられる事で、担当者のプレッシャーは相当軽減されると思っています。
そういう意味で今回BIRDさんからご提案いただいたBIIM(*1)という事業の評価手法は非常に有効でした。また、今回の活動で策定した事業開発プロセスや評価基準については役員層からも理解を得られたので、今後社内全体に浸透させて行きたいと思っています。文化の中に落とし込むとはそう言うことだと考えています。
*1:BIIM:Bird Initiative’s Innovation Management tools
今回ご用命いただきました決め手は何でしょうか?
今回の依頼で最も重視したのはシリコンバレーでの華やかな成功事例ではなく、日本・東京の本社を変えて行った実績とそれに伴う泥臭さい経験でした。2019年に当社のイベントで北瀬(*2)さんがNECでの改革事例を講演していただく機会があり、大手企業ならではの問題や進め方のノウハウを実体験に基づいて説明されていて、その内容が私にとって非常に新鮮でした。これまでも一通りの大手コンサルファームとはお付き合いさせていただいていて、様々な支援をしてもらっていますが、社内の変革に向け実務に落とし込むまでの内容を提案してくれたのはBIRDさんだけでした。
どのような活動を期待されていましたか?
期待としては大林組に合わせた事業開発のプロセスや仕組みを作ること。また、その過程を通じて、私が考えていたものを言語化し、チームメンバーに共通の価値観、共通の言語として浸透させたいと思っていました。BI室ができる前から今までの建設業とは違うプロセスや必要なスキル教育が求められているという会話をメンバーとはしていましたので、そういったものを今回構築したいと考えていました。
今回の活動の中では、これまで実際に大手企業の中で事業開発のプロセスを作り上げた実績から出る様々な視点のアドバイスを北瀬さんから貰うことができ、期待以上の価値を提供していただいたと思っています。
*2:北瀬 聖光 BIRD INITIATIVE株式会社 CEO
03ハードな活動でも、期待以上の成果
今回の活動を振り返ってみてどのように感じますか?
業務がある中で、2ヶ月半・17回のワークショップは正直ハードでした。ただ、リモートとオフラインのバランスも良く、メンバーともこれまでに無い濃密な時間を共有する事ができました。特に、初期に行なった現状課題を一旦全て書き出す作業はとても時間がかかりましたが、各メンバーの理解度等も分かりとても有意義でした。また、アイデア出しが必要なワークはFace to Faceのワークショップで実施し、発散しそうな議論についても論点を整理して上手くファシリテーションしていただいたので、スムーズに進める事ができました。
今回の活動の成果はどのようなものでしたか?
今回の活動で作成した事業開発プロセスや実行計画については、社長や社外取締役にもプレゼンを行い、好評価をいただいた上で更なる期待も掛けられました。(笑)
また、プロセスを策定したことで、外部のパートナーと会話する際等で共通認識を得られやすくなりました。今どのフェーズでどういった活動を行うのか、非常に分かりやすくなりましたし、短時間で議論が噛み合う様になりました。また、既存の事業部は「新規事業」と言うと異分野の話に聞こえてしまいがちですが、サービス形態やマネタイズの方法など既存事業でも活用できる手法やフレームワークが沢山あります。新規事業を検討するという事は経営を学ぶ良い機会でもありますし、新規事業開発の取組が、既存事業にもより良い効果を生み出せるのではないかと期待しています。
今後の目標は?
今回の活動で自分たちのミッションやKPIを設定したので、次はやはり一つ成功モデルを作り出したいと思っています。今活動しているプロジェクトについて、一つでもプロセスを通して進捗させるスモールサクセスがあれば、今後の自信にも繋がると思っています。その為にはやはり「人」。また一方で、新しいアイデアを生み出す仕組みも必要だと思っています。教育、R&D部門と連携しながら新しいコンセプトを作り上げる仕組み作りも行いたいと考えています。
企業プロファイル
社名
株式会社大林組
住所
東京都港区港南2丁目15番2号
資本金
577.52億円
従業員数
9,125人(2021年9月末現在)
事業内容
国内外建設工事、地域開発・都市開発・その他建設に関する事業、及びこれらに関するエンジニアリング・マネージメント・コンサルティング業務の受託、不動産事業ほか