代表取締役メッセージ
北瀬 聖光|代表取締役
× 齊藤 敦美|R&D Team
目次
1. CEO北瀬聖光とは?
・ずっと新しいことを探し続けてきたキャリア
齊藤:今年度(2021年度)からBIRD INITIATIVE(以下、BIRD)に入社いたしました齊藤です。研究開発のコアの部分に携わりたいと思っております。
【齊藤敦美プロフィール】
東京工業大学にて原子核物理学を専攻。大型加速器での共同実験で、BIRDの立ち上げメンバーである木佐森氏と出会う。自身の研究経験を生かして、様々な社会課題を解決したいと思い入社を決めた。
齊藤:まずは北瀬さんのキャリアについて教えてください。
北瀬:1993年にNECに入社し営業からキャリアをスタートしました。大学と一緒に新しい技術を作り事業化する仕事でしたので、今のBIRDの活動につながることを新卒のころからやっていた形ですね。私が入った頃は数十億規模の赤字だったのですが、なんとか黒字化を達成し、その後、小中学校も担当するようになりました。いま文部科学省が推進しているGIGAスクール構想につながるような、政策渉外活動も行っていました。
北瀬:その活動の後、NECのコーポレート新事業開発部門に異動し、現場では困難な新事業開発を牽引する立場になりました。新事業開発はもちろん、組織開発、人材開発と総合的に取り組み、新事業を興しやすい環境にすべくNECの諸制度を変えていきました。次は、NECだけではできないことをやろうという気持ちを持ち、今回BIRDの社長に就任した、という流れです。
齊藤:ずっと新しいことを探し続けている感じなのですね。
北瀬:そうです!「なんで北瀬さんはそんなにモチベーション高いんですか」とよく質問を受けますが、結局、好きだからです。新しいモノ、コトも好きだし、新しい人と出会うことも好き。新しい土地に行くのも好きだし、とにかく新しいもの好きですね。
齊藤:新事業は困難も多いと思いますが、どんな課題がありましたか。
北瀬:新事業って新しいことに挑戦し続けているので、やっぱりトラブルが起きてしまう。すごく記憶に残っているのは、ある大きな大学の基幹システムを2ヶ月止めてしまった出来事です。その原因を作ったのは私。当時本当に忙しくて、平均睡眠時間2時間ぐらいで数ヶ月仕事をしているときに、どうしても手が回らず、テスト環境の手配が遅れてしまったんです。テストができないままスケジュールが進行し、大トラブルになった。私もSEさんも軟禁状態になってしまった。その時に、上長から現場のトラブルシューティングの仕方をまざまざと学び、それが今にも活きています。その経験がリスクへの腹の座り方につながっています。
・仕事の哲学は「Stay Positive」
齊藤:普通の人は心折れるのに、「これより大変なことはないだろう」と思って、また他のことに挑戦できるのは、すごいポジティブですね。
北瀬:私の仕事の哲学は「Stay Positive, Work Simple」です。ちなみにその前は、「上を向いて歩こう」でした。その背景は、私が若い頃の上司がすごくめんどくさい人だった。ぐちぐちしているし、問題があったら人の責任にするし、下を向いているし、ああいう上司にはなりたくないなという気持ちがありました。だから、下を向かずに上を向こうと。コップに水が半分も入っているのか、半分しか入っていないのか、物事は2面的に捉えられるが、ポジティブに捉えると気持ち良くなりますよね。
齊藤:私も研究をやるなかで、モチベーション維持には哲学が重要だと感じます。その他にはどんな点が苦労しましたか。
北瀬:NECのど真ん中の技術でカーブアウト型でスタートアップを立てたことです。通常カーブアウトというと、本業ではない技術を外部に売る、というのが多いのですが、当時のNECのど真ん中の技術とトップリサーチャーをカーブアウトする形にしました。「NECの虎の子の技術をなぜ外に出すのか」「トップ社員をNECの外に出すつもりなのか」など、経営幹部と厳しい対話が続きました。しかし、「このプロジェクトは大きなチャンスです。これを成功させるチャレンジをするか、現ルールを守ってみすみすチャンスを逃すか」という対話を続け、NECのルールを変えてチャレンジする道が拓いていきました。
北瀬:AI創薬など、成果が見えてくると、顧客からも「NECは変わったね」との声が聴かれるなど、伝わることが多くなった気がします。
2. DXについて
・「DX」は「デジタル化」ではない。企業活動を根本的に変えていくこと。
齊藤:ありがとうございます。続いては、BIRDのテーマでもある「DX」についてです。日本のDXの現状と課題についてどう見ていますか。
北瀬:コロナでまざまざと見せつけられたのは、デジタルに対する理解がとても遅れていることを感じます。「コンピューターが人に教えるなんて、何を言っているんだ」など、人でしかできない考えの呪縛、世界観はまだ根強いです。
今「DX」という言葉が流行っているが、特に日本では「DX」と「デジタル化」が混在化して語られています。
北瀬:デジタル化をすると本来は楽になるはずなのに、日本の多くの現場では、デジタル化してかえってめんどくさくなることが多い。リスクは確かに減ったがそれ以上にベネフィットが減った、など。結果的に、プロセスが増え作業時間が長くなっているケースですね。
北瀬:本来「DX」というのは「デジタル化」ではなくて、お客さんの企業活動を根本的に変えていくことです。例えば、プロセスを減らす、物理的に短時間で到達できなかった距離を超えていく、変容させることが「DX」ですよね。しかし、そこまでできていることがとても少ない。日本の考え方の視点って、「人でできることは人でしましょう」「今まで人でできていたのだから、そのまま人で良い」という慣習がまだまだ多いと感じます。「AIにできることはAIにまかせて、人にしかできないことを人に任せましょう」というような発想が少ないなと思います。
・「DX」は伸びしろだらけ。デジタルツインが当たり前の世界を実現したい。
齊藤:「デジタル化」ということに固執しすぎて、そもそも解決したいことは何かとか、乗り越えたいことに視点が向いてないという感じですね。
北瀬:はい、なので伸びしろだらけです。まだまだやれることがたくさんあります。
BIRDの事業でいうと、プロダクト「assimee」という事業と、自動交渉技術によってDXを実現していく事業があります。
北瀬:「assimee」の事業ビジョンは、デジタルツインという世界が当たり前の世界の実現です。デジタルツインの考え方は、リアルの世界をサイバー空間に移し替え、サイバー空間で事前にシミュレーション計画を行い、最適化した結果をリアルに戻す、という発想です。エネルギーの世界(業界)ではそれがもう当たり前になっている。しかし例えば製造業の世界ではまだまだそういうことは少ない。これまでのデジタルツインは、リアルからサイバーにいき、サイバーからリアルに戻すという、リアルが出発地点の考え方だったのですが、これからはサイバー上であるべき設計や実現したい世界観を作り、最適化したものをリアルに移していく、といった出発の起点がひっくり返っていきます。
そういったところに、今BIRDが取り組んでいる「assimee」が貢献できます。
北瀬:自動交渉事業は、定期的に受発注していて、意思決定がある程度定型化できているところに関しては自動化していき、将来レベルが上がってくると人が行っているような交渉もできるところまで引き上げたいです。米国でも挑戦している企業が出始めいるので日本も負けてられないぞ、と。
齊藤:BIRDの事例や強みは。
北瀬:半導体ウェーハー業、自動車業、物流業で実証成果が出ています。「assimee」の基本的な価値はプロセスのボトルネックを解消することなので、あらゆる産業に適用できます。
例えば、普段3人で倉庫の荷物整理しているプロセスの中で、突然1人が休んで、2人になったときに、どうやってその日の作業を回すのが一番効率が良いかというのを「assimee」が答えを出し、生産性を高めて行きます。また、シミュレーション技術によって、少ないデータから経営に資する示唆を出せるというのも大きな強みです。
北瀬:自動交渉が目指している事業では、稚内市において、ドローンが活躍する実証事業に採択され、薬のドローン配送などの事例があります。
・成果のでるDXのカギは「トップのコミットメント」
齊藤:ズバリ成果のでるDXのポイントは。
北瀬:これまでの働き方や経営を変えるというのが、DXの本質です。成功しているところは、トップのコミットメントがあります。やはりトップだからこそ会社を変えることができる。多くの人は、どうしても変化を嫌がるじゃないですか。DXを目指すならば、トップが「変わるんだ」というコミットメントを発しないと、変えられないです。
齊藤:トップが勇気と覚悟を持って変革するんだという意識がないとうまく行かない。
北瀬:そうです。いきなり正解を求めるのではなくて、実験をしていく必要があります。ここへ向かっていきましょうという目標ができたら、様々な試行錯誤を繰り返しながら向かっていく。その試行錯誤をする文化や、それを実行するための仕組みとキャッシュをしっかりと準備するということが重要です。それらが無いと、DXは成功しない。
・真剣なチャレンジでしか学びは生まれない
齊藤:実験をしていく中で重要になる具体的な仕組みの例はありますか。
北瀬:多くの日本人は、失敗することに対して恐れを抱いている。「失敗することは恥である」という意識があるから、失敗したがらない。でもやはり試してみないとわからないことが多い。試してみるということをちゃんとできるようにしないといけないですね。
齊藤:失敗したからといって怒られたりだめだと言われるのではなくて、むしろ失敗して、こういうことがわかってよかったねと言われるような風土だったり、評価システムだったりというのがポイントですね。
北瀬:そうです!「成功するかどうかわからないものにお金を使えません」という企業は意外と多い。絶対成功することにしかお金を使わないとなったら、動けないですよね。やってみないとわからないから、実験するのだから。
ただし、失敗ありきのチャレンジはしたくない。成功を目指してチャレンジすることを尊敬し大切にする。成功を目指したけど結果的に失敗したときは学ぶことが多い。失敗ありきでチャレンジすると、練習の練習になり、身につくものも少ないでしょう。真剣に戦ってチャレンジしたからこそ、学ぶことが多いはずです。
3. 哲学・価値観・文化について
・BIRD INITIATIVEの「哲学」
齊藤:BIRDのフィロソフィーについて教えてくだい。
北瀬:「殻を破りR&Dからイノベーションを最速で実現する」「社会課題を解き個人と組織、社会の成長を加速する」という言葉を掲げています。
実はこのフィロソフィーを作るのって、すーーごい考えたんですよ。
なぜBIRDという会社を作るのか、何をしたいのかというところから、創業時メンバーで数ヶ月かけて練り上げました。日本語でキーワードを洗い出して文章にして、それを英語にして、また日本語にして、ブラッシュアップして、というのを繰り返していました。
北瀬:「フィロソフィー」という言葉選び自体も、かなり考えました。
似たような目的で、ミッション・ビジョンという言葉があります。日本人にありがちなのは、正しく伝えたがるあまり、ミッションとはそもそもなんぞやとか、ビジョンとはなんぞや、という言葉の定義の方に意識がいってしまう。言葉の定義に惑わされず、言いたいことは何なのかに集中していった結果、BIRDでは「フィロソフィー」、哲学にしました。「フィロソフィー」という言葉自体にも魂が入っています。
齊藤:それぞれの言葉に込められた想いを聞かせてください。
北瀬:まず「殻を破り」というのは、慣習とか規制とかがある中で、それがあるからできないのではなくて、成し遂げたいことがあるなら、それは突破すれば良い。変えれば良いんだ、という考え方です。成し遂げたいことへのバイアスや制限があっても打破して殻をやぶって実現しようという想いがあって、この言葉を使っています。
北瀬:次は「R&Dからイノベーションを最速で実現する」の部分ですね。
研究機能を持っている多くの日本企業は、研究成果が事業になっていないともがき苦しんでいる方がもとても多い。研究側と事業側の線引きがされていて、事業をしたい研究者が事業に参画するのは難しかったりします。そこを突破したい、「R&Dからイノベーションを最速で実現する」。「最高」だったら、大企業のほうが良いかも知れません。しかし「最速」というのは結構難しい、それをやろうと。こだわる箇所は、「最速」なんだ、というのも気持ちの一つです。
齊藤:確かに大企業だと、マネタイズは研究員でなく事業側が考えなくていけないとか、シーズの部分の開発のみであとは事業部に引き渡しなさいとかいろいろあると思うんですけど、BIRDは、R&Dの人間がコアのところから、マネタイズまでずっと携われるというのが、確かにすごい魅力的ですね。そして確かにそれは最速なのだなと思います。
北瀬:世の中には賢い人がいっぱいいるので、私たちが考えていることはおそらく世界中でチャレンジしている人がいると思う。だからこそ、早く世の中にだして、どんどん市場やお客さんからフィードバックをうけて改善していく世界観でないと生き残れない。とにかく早く出していって、市場とお客さんに鍛えられていきながら事業に近づけていくことを大切にしたいです。
北瀬:次の「社会課題を解く」というのは、綺麗事を言っているのではなくて、そこに関わらないと生き残れない。単に金儲けだけすれば良いのだったら、もっと楽して儲ける方法もあるかも知れない。しかしそれはBIRDでする必要はない、私が代表である限りはしません。
北瀬:さらに私のこだわりとして、「成長」を大切にしたい。
北瀬:個人の成長、組織も成長、そして社会も成長。成長というのは、単に経済的な成長を言っているだけではなくて、例えば1年後振り返ったときに、成長したな、っていう実感がもてるような成長を目指したいのです。
・「提供する価値」と「大切にする価値」
北瀬:フィロソフィーは、「提供する価値」と「大切にする価値」の2つからなっています。
北瀬:提供する価値というのは、顧客や社会に対する価値のことです。
R&Dエコシステムには、日本の研究開発環境全体を底上げするんだ、という意志が込められています。例えばコロナ禍があった結果、日本全国で分散R&Dが進みました。これからも研究開発環境の改善やROIを高めるエコシステム構築を目指していきます。
北瀬:大切にする価値は、一緒に働く人たちと共有したい価値観です。
社会課題を解き、社会にインパクトのあることをしようと。構想の段階でインパクトがないものだったら頑張らなくて良いかもしれない。はじめに大きな構想を持っておかないと、出来上がりはとても小さくなってしまう、だからこそインパクトの視点を大事にしています。
そして最速で実現するために「シンプル」であるということも大切にしています。
複雑なことは、時間がかかってしまう。シンプルでないことは多くの人に共感されない。
シンプルであればあるほど多くの人が多くの人に自分ごとのように早く伝えることができ、結果的に伝達コストも下がる。だから、シンプルであり続けたい。
齊藤:インパクトとも通ずるところがありますね。シンプルにすごいことをいうと、やっぱりカツンとくるものがありますね。
北瀬:「シンプルであることで、しなやかに速く、強くなる」という言葉もかなり考えました。世の中ってとても速く変わっていくじゃないですか。もし強いだけだったら、強風が吹いたときにポキっと折れてしまう。しなやかだったら受け流すこともできるし、戻れるんですよね。そういう世の中の変化とか理不尽に対して屈しないしなやかさを持ちたいという意志を言葉にしています。
北瀬:「Challenge Each Other」は、ものすごい喧々諤々したんですよ。この言葉はお互いを高め合いましょうという言葉で、通常エンゲージメントという言葉を使うところを、あえてチャレンジングにしました。戦うぐらい、時に刺し合うぐらい、お互いに刺激し合い高め合う強さがほしいという意味です。
齊藤:歯に衣着せぬというか、思ったことをズバッとはっきりいえるような環境というか雰囲気でありたいということですね。
北瀬:はい。それはある意味、強いひとを求めているかも知れない、厳しい世界かも知れないです。世の中には価値ある人がたくさんいる、その人たちと競い合っているので、真剣だからこそ言うべきことは言わなくちゃいけない。誰もが切磋琢磨し成長する。そのためにはオープンでなくちゃいけない。
実は裏で何か言われているとなると、疑心暗鬼になるじゃないですか。疑心暗鬼の中でズバッと言われると、辛いだけになる。だからこそ思っていることはオープンにするし、本当にそう思っているんだっていうことを伝えることが健全なやり方だし、ほんとに成長を思ってくれているんだという安心感につながると思っています。
齊藤:これから何か辛いことを言われても、あんまりくじけないようにします(笑
北瀬:新事業って新しいことなので、知らないことだらけ。だから間違うし失敗してしまう。成功を目指して失敗することは怒りません。ただし、同じミスを何回もするということはシンプルじゃないし遅くなるので、それはちゃんと学びましょうと言っています。
齊藤:北瀬さんでもわからないことはたくさんあるんですね。
北瀬:もちろんたくさんあります。こんな歳になっても学び続けている状態は若い頃は想像していませんでした(笑
齊藤:大学で新事業に取り組んだものの、失敗してしまい、それから新事業と聞くだけで、難しい、無理と感じてしまうのですが、北瀬さんでもわからないことが多いというのは、何だかすごい安心しました。失敗してもいいんだというのはすごい良いですし、オープンな環境はやりやすいなと思いました。
・BIRD INITIATIVEの企業文化
齊藤:今後は、どういう企業文化、BIRDらしさを作っていこうとされているのですか。
北瀬:オープン、フェアネス、相手を尊敬する、を忘れなければ、成長していける。
オープンの一つとして、私も含め社員が使うお金は全部見えています。必要なお金は正々堂々と使いなさい、正々堂々と使えないお金は使ってはいけません、という大方針です。オープンにすることによって自然とガバナンスが効いている状態ですね。
北瀬:フェアネスでは、例えば、実力を発揮している人が上長とたくさん喋っているから依怙贔屓(えこひいき)されていると思われたらお互いに損じゃないですか。
本人も嫌だし、そう思われる上長も嫌。チャンスを掴む努力をした人と努力をしなかった人に常に同じチャンスを渡し続けるのも違和感がある。だから私はフェアネスがすごい大切だと思っています。平等ではなく、公平である、公正である、というフェアネスを大切にしていきたい。健全な依怙贔屓は必要であると考えています。
齊藤:邪推なく気持ちよく働けますよね。
北瀬:そして相手を尊敬すること。BIRDは様々なキャリアを持つ人が集まっているので、それ自体が大きな財産です。
一つの物事、たとえばこの鳥(会議室においてあるグッズ)を見たときに、こちらから見る姿と、こちらから見る姿ってやっぱり姿が違うじゃないですか。
北瀬:多面的に見れるということが、本質的な価値を見つけることに繋がる、より良い事業に近づける道筋だと思っています。様々な経験を持っていることをちゃんと尊敬し、それを活かすような事業が展開できたら嬉しい。
だから、トリセツ(自己紹介スライド)とか作っています。その人が持っている経験とかパーソナリティを理解したい、みなさんの自己紹介プロフィールはとても大切にします。
<北瀬の「トリセツ」(自己紹介スライド)>
齊藤:なるほど、私初めてこんなにちゃんと自己紹介スライドを書くのが初めてで、大学時代もやったことないです。
北瀬:相手が何者かどうかもわかんない人の意見って、覚えてないですよね(笑
齊藤:そうですね。覚えてないですし、ちゃんと聞こうという気にならないかも知れないですね。
北瀬:その人が言っている発言も、「あのようなキャリアがあるから、こういう発言をしているだ」という発言の意図もわかるじゃないですか。だから、とても自己紹介を大切にしています。
齊藤:単純にその人に興味が湧くようになるから、やりやすいというか、話しかけやすいというか。リモートだからこそ、パーソナリティの部分を知れるのはすごいありがたいなと思っています。
4. これからのBIRD INITIATIVEについて
・新事業に向く人物像とは
齊藤:いろんな経歴を持った人が集まっているけれど、その中でも北瀬さんが一貫してこういう人が良いな、と思っていることは何かありますか。
北瀬:まず1つは、当事者意識は持ってほしいです。
失敗するとかうまく行かなかったときに、「私は悪くない、あいつが悪い」「環境が悪い」と他責にする人は新事業は向いていないと思います。自分ごととして、より良くするために自分ができることを考えから、真剣にもなるし、行動につながる。自分の責任じゃないと思うと、やっぱりちゃんと考えない。
齊藤:そこで思考停止しちゃいますよね。今回は運が悪かったとか、環境がこうだったからだめだったとか。そこから、次はどうしようかと考えられるようにということですね。
北瀬:新しい事業は顧客に対してリスクを背負っている。
新しい事業を届けようとしている人が責任を感じていないならば、顧客を巻き込むって失礼になると思っています。真剣に成功させたいと思っていて、自分事で動ける人を求めています。
そして、学び続ける。学び続けつけることは難しい。行動することも大変、心身もちゃんと健康を維持しないといけない、考え続けることはさらに高いハードル。こういうタフさは必要です。
北瀬:圧倒的な当事者意識を持ってほしい、学び続けて欲しい、そのタフさが欲しいです。
・より速く、遠くに飛ぶための発射台としての場づくり
齊藤:BIRDとして実現したいビジョンは。
北瀬:事業をしたい研究者や、将来スタートアップを起こしたい学生さんなどが、BIRDに集まり、BIRDがもつ仕組みや関係性を活かして、より遠くに飛べるように、高い発射台になりたいなと思っています。ローンチパッドと言っているのですけど、高いところから飛ぶと遠くに飛べる、低いところから飛ぶと、ちょっとしか飛べない。事業したい人たちがより速く、より遠くへ飛べるような発射台の仕組みをより良くしつづけている場にしていきたいです。
齊藤:「KOTORI(小鳥)」とみなさん呼んでいますけど、新事業をSpinOffさせたりSpinOutして旅立たせる仕組みにしたきっかけはなんですか。
北瀬:BIRDは研究開発もする会社です。そこが事業まで担い続けると、事業会社の株主と競合状態になる可能性があります。そこで、プロジェクトが本格的な事業フェーズに到達したら、BIRDの株主に売却するかスタートアップ化して株主とともに成長させる。だから事業会社の株主様と競合状態になりません、安心して研究テーマを預けてほしい、という建て付けをとっています。
北瀬:さらに、多くの人に経営の経験はしてほしいというのもあります。シニアの方でいうと、多くの企業で定年退職というのがあるが、自分が社長だったら定年をなくすことができる。自分で自分の生きる道を作れるような世界を作って欲しい気持ちもあるんですよ。だから、若いひとだけでは無いと思うんです。
齊藤:これから、おじいちゃんがトップのスタートアップができる可能性も。
北瀬:できるかも知れませんね。
実年齢ではなくて、実稼働年齢を重視します。BIRDの仕組みを使って、その仕組みが活きるならば、ぜひぜひ一緒にやりませんか、というのも本当にありですよね。
齊藤:経営の経験をして欲しい、というのはなぜそう思うのですか。
北瀬:大きな企業にいると、給料をもらえるのが当たり前だし、来月給料をもらえるか不安にならないですよね。
でも実際、従業員全員に給料を現金で払うというのは、ものすごいプレッシャーですよ。それは経営者の立場にならないと、実感を伴わない。さらに、経営者は最終責任者ですから、決定しなくちゃいけない。良いことだけではなく、辛い決断もしなくちゃいけない。それは、得難い経験になると思います。
北瀬:これからのキャリアは、働いていた企業名を看板にするのではなく、私はこういう経験をしてきました、ということこそがさらに重要視されてくる。その経験の中に、経営者経験があるのは、貴重な経験となり、皆さんのキャリアをより良くしていくはずです。
私も様々な新事業や会社を作ってきましたが、BIRDで初めてリアルに社長になりました。想像していた以上にプレッシャーを感じていたんでしょうね。
設立当初、株主のことを意識しすぎるあまり、株主と約束している利益の確保を優先するというふうに考えた時期があったんですよ。ところが利益を優先すると、チャレンジできなくなる。お金使わないことが一番利益を出せることになるかもしれないですよね。新事業って、失敗する方が多いから、お金はなくなっていくじゃないですか。だから動けなくなってしまうんですよね。
北瀬:「利益を中心に考えるとするならば、そもそもBIRDはそれがしたいことでしたっけ、いや違うよね」ということをメンバーから指摘をうけたり、自分が顧客にBIRDはこういう会社ですって説明をするときに、ふと振り返って、気づきました。
なすべきことがあり、その結果として、顧客から価値を認められて、収入を得て、次の挑戦へとつなげる、と本来の立ち位置に戻ることができました。私自身、そうなると思ってなかったんですよ。やっぱりこれは経験してみないとわかんないプレッシャーだなと。
メンバーから「それで良いのですか?」、というのを言ってくれる文化に感謝しています。
齊藤:それを聞いて軌道修正できるのも素晴らしいことですよね。
・社会への価値提供、成長を願う人と働きたい
齊藤:パートナーや社員も含めて、これからどんな人と一緒にやりたいですか。
北瀬:フィロソフィーや大切な価値観も含めて、共感してくれる人、というのが一つ。
顧客もパートナーも社員も想いをもって、リスクを背負っていく。それぞれが当事者意識をもってチャレンジして欲しいです。あとは個人と組織と社会の成長を願う人と一緒に働きたいです。
齊藤:BIRDバードに丸投げという姿勢ではなくて、一緒に新しいことをやっていきたいとか、利益をただ追求するだけじゃなくて社会的に価値のあることを求めている人などですね。
北瀬:儲かれば良いや、という形にはしたくないです。そのような事業はBIRDには合わないです。
・新しいものを追いかけ続ける
齊藤:ご自身の今後のビジョンややりたいことは。
北瀬:私が持っている経験は、多くの人に伝えていきたいですし、公私ともども新しいことが好きなので、多分新しいものを追いかけ続けているだろうと思っています。
リタイア後に想像しているのは、ITやスタートアップの世界の仕組みを、違う業界に転用していくような取り組み構想を持っています!
齊藤:プライベートはどんなことをしているんですか。
北瀬:今はプライベートな時間は少ないですが、もともと本を読むことは好きです。小説から、ビジネス書、漫画も好きです。今朝も電車でWeb漫画を読んでいて、泣けるシーンが多くて思わず電車内で涙をこぼしてしまいました(笑
北瀬:会社人生を変える小説との出会いもありました。
もともと研究者だったのに、NECに入社した際は営業に配属され、成果が出ずにウジウジしていました。「おれは悪くない、俺を営業にした幹部が悪いんだ」と、他人の責任にしていた時期もあり、その時に友達から、「この小説を読んでみたら」といわれ、ある小説を読みました。
そこで気づいたのは、結局自分がYesといったんだよねと。本当にしたくない仕事だったら、嫌と言えるはずだし、それでもしたくないことを強要されたら退職すれば良いと。結局やるっていったのは自分だよねと。そう考えたら、言い訳をする必要がなくなったんですよね。
それから小説はとても好きになりました。「Stay Positive」という哲学にもつながっていると思います。
齊藤:趣味はなんですか。
北瀬:多趣味でしたね。釣り、空手、水泳、漫画、ゴルフ、バイク、サーキット行ったりなど。漫画やモータースポーツ観戦はいまでも好きです。
・BIRD INITIATIVEのキャリアパス
北瀬:齊藤さんご自身がBIRDに入社してから感じたこともぜひ教えてください。
齊藤:実際入ってみて、いろんな経験をしている人がたくさんいるので、本当に勉強になるし、面白いと感じています。みんな優しくて、話しにくいなとか壁を感じる人があまりいないですね。友達にも結構進めています。
北瀬:最近もエンジニアの方を紹介してくれましたよね。
北瀬:会社人生で、会社を作る経験って一回あるかないかじゃないですか。そういう経験をたくさんできるチャンスでもあるし、自分がこの事業に自分自身の人生をかけたいというものに出会ったら、そこの経営者として、その会社で生きていく道も拓けます、BIRDならば。
北瀬:ゼロからイチにするときって、一番考える。そもそもなぜ会社作るのか、何を成し遂げたいのか、真剣に考えるので、そういう会社を興すところの経験も貴重です。
齊藤:発射台として「KOTORI(小鳥)」として出ていくっていうキャリアパスだけじゃなくて、「KOTORI」を出し続けるっていうキャリアパスもあるのですね。
北瀬:大企業、歴史ある企業だからできることもある。株主の企業から出向してもらって貴重な経験をしたらまた会社に戻ってもらうというキャリアパスもある。メンバー構成としては、半分は株主からの出向者、半分はプロパーにしようと思っています。プロパーはまだ数名なので、絶賛募集中です!
私達のコア技術は、「Intelligent Simulation✕Automation」です。
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